九州クラフトデザイン協会は1961年、塩塚豊枝、柏崎栄助、松宮寛明、那賀清彦、井上規、森正洋、岡本栄司氏らが発起人となり、柏崎栄助氏を理事長として1961年に設立され本年で53年目を迎えます。クラフトデザインにおいて草創期から現在に至るまで日本のクラフトの歴史と共に歩んできました。1962年に福岡天神岩田屋で第1回九州クラフトデザイン展開催、以降2001年に第39回展まで回を重ね、熊本県伝統工芸館での第40回展を最後に展覧会は休止しています。この間、開かれた、学べる公募展として「公開審査」を伝統とし、白熱した審査状況を出品者が直接見ることができ、この場から多くの事を学び、刺激を受けた多くのクラフトマンが日本へ世界へと羽ばたいてゆきました。その後、九州を始め東京、大阪など各地の企画展や、クラフトイベントへの参加など活動を続けてまいりました。
 暖かく穏やかな中にも、時として荒々しく激しい九州の風土のように、九州各地で魅力的なモノづくりが続けられてきました。有田・波佐見の陶磁器や日田・大川の木工・別府の竹など、九州各地には素材と、技術、地域文化に根ざしたクラフト産業が数多く存在します。これまで、九州クラフトはこれらと良い関係を保ちながら発展、進化してきました。この結果、育まれてきた「九州のモノづくりの理念」を次世代に伝え、支援してゆくのが協会の使命だと考えています。
 「クラフトとは?」の問いに対して「クラフトとは簡単に言うと、手仕事を中心とした技術を駆使し、素材の良さや特性を生かし、その時代の暮らしに合った美しく便利なモノをつくること」と答えます。そもそも日本における、「工芸」とも大きな意味の違いはありませんが、そこにデザインという理念が加わることにより、クラフトの意味が明確になります。そこには対象となる暮らし、つまり使い手が存在するわけで、時と共に変化する暮らしに対応しながらクラフトのスタイルは変化しますが、素材、技術、暮らしの関係性から生まれる美意識はクラフトの根幹にあり、変わらないものです。素材や技術も進化します。これらも織り込みながら進化してゆくべきでしょう。 これらの忘れてはならない九州クラフトの底流の上に、現在の、さらに、次世代のクラフトを発信し続けてゆくことがとても大切なことだと思います。
 昨今、「クールジャパン」と言われ、日本の伝統文化・伝統技術が世界的に評価され、注目を浴びています。しかしながら、伝統という表層的なカタチのみのに流されてゆくことも危惧されます。日本の伝統的なモノづくりを今の時代に生かすという意味では、まさにCRAFTと書かず、あえて日本語で「クラフト」呼ぶクラフトは、その中心的役割を担うべきで、そこに今のモノづくりの本質を見出すことが大切だと考えています。

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KCDA 九州クラフトデザイン協会


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